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会長の目


 第1号 〜

平成20年(2008)5月28日 
宮本 忠

〈あれがロンドンの灯だ!〉

「禁煙」の電光板が点灯した。「ヒースロー国際空港にまもなく着陸します。シート・ベルトを締めてください」という英語のアナウンスが流れた。機は着陸態勢を取り始めた。暗闇の空中から目を下界に落とした。いくつもの小さな光の一団がぐんぐん上昇しながら機に迫ってきた。街の明かりのようだ。「あのオレンジ色の光の帯は何だ?道路だろうか?」。これから始まるイギリスの実像を確かめようと目を凝らす。頭の中で日本語が飛び交う。入国検査は、うまく行くのだろうか。ホテルに無事着くのか。空港からタクシーで行くべきか、それとも、空港バスでよいか。オレンジ色の光の帯は、高速道路の街路灯と自動車のヘッド・ライトだった。こうして初めての海外体験、文部省在外研究員としてのオックスフォード大学生活が始まった。昭和50年(1975)12月クリスマス直前のことだった。この経験が機縁になって、イギリスに関係の深い豪NZに深入りすることになった。





掲載日:2008年7月31日


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