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会長の目


日本語絵本図書館訪問記

2006年、オークランド在住のボランティアをしている御婦人から一通のEメールが三重オーストラリア・ニュージーランド協会(三重豪NZ協会)のホームページに届けられた。オークランド在住のMという人からだった。
「私たちオークランド在住の婦人によって日本語絵本図書館を立ち上げたい。絵本が不足しているので収集に協力していただけないか」
協会の会長をしていた僕は「これは協会の目的である日本とNZの「文化のかけ橋」になる事業である」と判断して役員会の同意を得て協力を決定。全国に呼びかけたところ、著名な絵本作家を含め多数の賛同がえられ、絵本を代表のMさん宛てで贈った。
そしてついに次のようなうれしい悲鳴のメールを受け取った。
「私たちが準備した個人の庭にある小屋のスペースが絵本であふれだしました。送本をストップしてください。大変状態のよい本がたくさん届き嬉しく思っています。オークランドにお越しの説は、ぜひお立ち寄りください」
それから約10年。10年一昔、という言葉もある。私たちの協会は設立15周年を越えた。何度かオークランドに行っているが、この図書館をいつも頭に置きつつも素通りしている。
このへんで一度図書館のその後の発展を確かめておきたいと考え、このたび、すなわち
2016年度のNZ旅の目的の一つに絵本図書館訪問を加えたのであった。ところがである。図書館のネットのページに何度アクセスしても混線して本丸とつながらない。日本を離れる前日まで試みたがうまくいかなかった。オークランドのホテルに着いた翌朝からフロントに下りて同図書館へのアクセスを、ホテルの日本人スタッフに手伝ってもらい探してもらったが思うようには事がはこばない。結局かれの「日本領事館ならわかるかもしれない」とのアドバイスでホテルから領事館までの地図を書いてもらい直行した。歩いて10分ほどで簡単に領事館にアクセスできた。在日本国総領事館は、AIJビルティング15階に鎮座していた。受付の若い女性係官が「しばらお待ちください」と答え、奥に行った。椅子に座って待った。フロアには何人かの日本人が立ち話をしている。聞くと、参議院議員の選挙の投票のために来ている在留邦人の方々であった。2016年の安倍自民党が大勝したときの参議院選であった。
いまでは我が国も在外投票の制度化が実現し、世界のあちこちでこうした在留邦人の投票がおこなわれていることを実感。
由紀さんがたまたまここで話しかけた御婦人は、なんと私たちが探している絵本図書館のMさんと友人であった。しかも由紀さんと同県人の愛知出身。ご主人とともに選挙にこられていたのだ。私も話の中に加わりまたびっくり。ご主人は、かつて私たちがNZにきたときにお世話になったYさんと昵懇の人だった。N夫妻には投票後、昼食とオークランド・ドライブ旅行のご馳走に、恐縮ながらあずかった。
その夜、図書館のMさんから早速電話が入った。「明日午後13時すぎに図書館にうかがうこと」になった。図書館には子供たちもきておるのでそういう様子もみてほしいとのことだった。Mさんは僕たちの突然の訪問にびっくりされ、「うれしい、うれしい」と電話口で連発してくれた。また、「オークランドではバスは不便なところがあるのでホテルを通してタクシーを利用した方がよい」とアドバイスしてくれた。そこで早速、ホテルのフロントを通じてタクシーを翌日の午後12時30分に予約しておいた。

6月24日(木)の最大の用事は午後の絵本図書館訪問である。午前は長距離バス・センターのあるスカイ・シティに出かけ、娘に頼まれているみやげものを見つけに行くなどした。娘のリクエストは、日本で売っているNZを代表するキウイ・フルーツの大きなぬいぐるみ人形であった。それまでも、出歩いたところであちこち気をつけて探すのだが見つからなかった。スカイ・シティなら手に入れることができると期待していたのであった。そしてついにここで発見。ただし、なぜか一つだけしかなかった。11時すぎにホテルに帰り、二階の部屋係りのおばさんに牛乳とコーヒバッグを補給してもらい、部屋でいつものスタイルで昼食をゆっくりいただいた。今回はホテル近くのスーパー・カウントダウンで、キャベツがタップリ、飾りだけの人参をはさんだサンドウイッチ、油がのったスモークドサーモンを購入、ホテルでゆっくり味わった。食後、下に降りてタクシーを受付前のベンチに座り待った。予約5分前に中年の運転手がベンチまできてくれた。今回の旅では初めての雨の中、20分ほどでノース・ショア地区に所在する絵本図書館に着いた。図書館は中古車販売の日本企業の大型店舗内にあった。非常に広い広いフロアにはたくさんの車が陳列されており戸惑っていると、若い女性が出てきて絵本図書館に案内してくれた。

初対面の代表のMさんと笑顔の握手。幼児が母さんとページをめくりなら楽しそうに絵本を見ている。新入りの母子が会員になる手続きについてMさんに質問している。
その間、僕たちは常連らしき子連れのおかあさんと会話したり、書棚などを見学さてもらった。なかなか活発に利用されているのが感じられる。ここは日本語絵本図書館であり、日本出身のママさんたちによって造られ、運営されている。会費制を採っているようだ。年間の会費は35NZドルとか。
4.5畳と6畳くらいの二つの部屋の書棚にぎっしりおよそ3500冊の日本語の絵本・図鑑・児童書・紙芝居などが保管されている。子供の絵本だけでなく、紙芝居や大人用の本も少々置いてあるのだが、紙芝居は私たちが日本で「NZに絵本を贈ろう」とキャンペーンしたときに贈呈があったことを思い出した。
なおここでは、絵本の貸し出しのほか、「読み聞かせ」や、日本文化を楽しむ子供会、子供日本語学習会なども開いている。今般、Mさんから実に素晴らしいニュースを聞くことができた。「昨年2015年、NZ政府によって、本図書館が、NZにおける公式の教育施設して認定された」。そして、昨年11月に、ここに引っ越した。これは、G社の企業理念である社会貢献活動の一環として図書館に「場」が提供されたのではないか。またこのことは、同館がNZ政府によって公式の教育施設に認定されたこととも関係があるのではないか、とも推察する。いずれにせよ、おめでたいことに変わりはない。
最後に、Mさんによれば、「図書館を開館するときに日本に向けて絵本寄贈お願いのメールをかなり送信した。が、ほとんど応答がなかった。だから三重豪NZ協会から贈呈された図書は大変貴重だった。この図書館の本は三重からの絵本が基本になっている。それがなかったらできなかったかもしれない」。
以上、二重、三重にうれしい日本語絵本図書館訪問だった。


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